N2毎日練習主張理解長文:愛の歌の歌詞(文学・芸術論)
【主張理解・長文】文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
愛を歌にすることに特有の利点は何かあるのでしょうか。ここで注目したいのは、歌詞は情報が少ないという点です。
ドラマや小説には複数の人物が登場し、それぞれの登場人物は、年齢・性別・容姿・職業といった特徴で区別されます。さらに、物語が進むにつれ、この人物はこういう場面でひとがらはこんな感じで行動する、こういう性格・人柄をしている、といったことが具体的に明らかになっていきます。そのため、登場人物が発するセリフは、かなり具体化された人物の気持ちの表れとして鑑賞されるでしょう。
かんしょうしかし、具体化されるからこそ、登場人物と鑑賞者との違いも明らかになってしまいます。「自分はこの人の言うことには共感できない」ということも出てくるわけです。もちろん、登場人物と鑑賞者に共通点が多くあれば、そのセリフは自分の体験にぴったりなものとして私物化されるでしょう。ですが、自分と何の共通点もない人物のセリフは自分の気持ちを代弁するものにはならないわけです。
これに対しラブソングの歌詞は、ドラマのセリフと同じく他人の気持ちを表明したもの热ですが、表明している人物に関する情報がそう多くありません。誰が誰を好きになって具体的にどう行動したということは言われておらず、「恋に落ちたら人はこういうことをす尺がる」という一般的な傾向が描かれています。
ひとがら確かに、歌手や作詞家の人柄を知っていれば、歌手や作詞家という具体的な人物の気持かんしょうちの表明として歌詞を鑑賞することになるでしょうが、歌はドラマとは違って作品内に特えが定の人物に関する詳しい情報が描かれていません。むしろ、ラブソングの歌詞から得られる情報は、多くの人に当てはまる一般的/抽象的なものです。そして、こうした情報の少なさのために、ラブソングの歌詞はドラマのセリフよりも私物化しやすいものになっているでしょう。自分に当てはめやすくなっているのです。その点でラブソングは、他の芸術よりも多くの人の共感を得やすいものになっていると言えます。
1. ドラマや小説について、筆者はどのように述べているか。
1.
物語が進むにしたがって、登場人物の気持ちが理解できなくなる。
2.
場面や行動より登場人物の気持ちが優先されていて、かえって分かりにくい。
3.
登場人物の気持ちが具体的に描かれているので、物語の展開が分かりやすい。
4.
登場人物が詳しく描かれているので、それぞれの人物が具体的にイメージできる。
2.筆者によると、愛の歌の歌詞と比べてドラマや小説のセリフの不利な点は何か。
1
鑑賞者が登場人物と同じ気持ちになれなければ、作品が理解できない点
2
登場人物の気持ちに注目しすぎて、鑑賞者は自分との共通点に気づけない点
3
登場人物と共通点がなければ、鑑賞者は登場人物と同じ気持ちになれない点
4
登場人物と共通点が多くても、鑑賞者が登場人物の気持ちを理解するのは難しい点
3. 愛の歌の歌詞について、筆者はどのように考えているか。
1.
歌手や作詞家の情報が少ないほうが、鑑賞者が自分のこととして理解できる。
2.
特定の人物を想像しにくく、鑑賞者が自由に自身の気持ちを重ねられる。
3.
抽象的なものよりも具体的なもののほうが、鑑賞者に受け入れられる。
4.
一般的な体験が詳細に描かれており、鑑賞者が親しみを感じられる。
解析
問1 正解:4
要点:物語が進むと、登場人物の性格・行動が具体的に明らかになる。詳しく描かれているので人物をイメージできる。
問2 正解:3
要点:人物と共通点がなければ、そのセリフを自分の気持ちの代弁にできない=同じ気持ちになれない。
問3 正解:2
⚠️罠:選択肢1は対象のすり替え。「作品内の人物情報」≠「歌手本人の情報」。
要点:特定人物が描かれていないため、鑑賞者が自由に自身の気持ちを重ねられる。
